さぬきストーリー・プロジェクト

新企画 さぬきストーリー・プロジェクト

香川県  松原真美さん

投稿作品

No.240【時間貯金】

その他

香川には、さぬき時間というものがある。車のハンドルの遊びにように、どうやら標準時間に多少の余裕があるらしい。
なので、待ち合わせ時刻の15分も前に着いてしまうと、えらく長く待たされる。
そんな時私は、国民的アニメに登場する未来の道具のように、この時間が貯金出来ればいいのにと思ってしまう。
そうしたら、寝坊した時、バスが渋滞で会社に遅れそうな時、1分、2分……ええいっ10分!と、貯金しておいた時間を引き出して使えるのに。
焦っている人たちを尻目に、涼しい顔をして通り過ぎる私の時間だけ、ゆっくり動く。
「時間を預かってくれる銀行があるなら、直ぐにでも印鑑持って走るんだけどな」
そんな私の独り言に大笑いする友人。
「そんな銀行あったら、私だって預金するわよ」
低金利でも構いません。そんな銀行を切望しております。

 今朝、私は、とてつもなく寝坊してしまった。
起きる時間より30分も経ってから気が付いた。
ヤバい!もう無理だ!でも最後まで諦めない!
そう自分に言い聞かせて、顔も洗った。服も着替えた。化粧もした。
そして、いつも通りの時間より5分遅れて家を出られた。
「今朝は焦った。もう、絶対に無理って思ったわ。でも、時間貯金が使えたけん、間に合ったんよね」
と、今朝の事件を友人に自慢した。
友人は、半ば呆れ気味に
「それ、火事場のくそ力ってやつやん」と言った。

 時間を預かってくださる銀行さん。そっと私にDM送ってください。
メールでも大丈夫です。当方、心からお待ち申しあげております。

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