sanuki story project

220プクちゃんの応援歌 香川県  P.P.IIIさん
感動した話
プクちゃんは、ブラックな零細企業に勤めるOL。
その会社では、毎朝の朝礼でマニアックな独裁社長による空手の型をやらされ社員が行う型がピタッと決まらないと、連帯責任で全員に型を繰り返し強要される。プクちゃんはこの朝礼が苦手だ。一番自分がトロく、毎回みんなに迷惑をかけてしまうからだった。
落ち込んでは、仕事帰りに公園にギターを持って行き、お気に入りの曲を弾く。ギターだけがプクちゃんの唯一の救いだった・・・
が、それもうまく弾けず、イライラがつのるばかり。
ある日、またドジをして社長にしかられ、すっかり落ち込んでしまったプクちゃんは、いつものように公園に行く・・・その時、きれいな楽器の音がする。顔を上げるとそこには、女性が微笑んでプクちゃんを誘うように、メロディを弾き始める。そして、ひとり、またひとり、と楽器を持った女性たちが現れ・・・プクちゃんを応援するように音楽を奏でる。みんなと一緒にリズムに乗って演奏していくにつれて、プクちゃんの心は次第に癒され、笑顔になっていく・・・。それ以来、プクちゃんは、毎日仕事帰りの謎の女性たちとのセッションを心待ちにするようになる。そして、プクちゃんは会社でも明るくなっていく・・・
その日も、いつものように公園に行き、女性たちを待つ。彼女たちは今ではプクちゃんのかけがえのないのない友達になっていた。しかし、彼女たちは寂しげにプクちゃんに別れを告げ、消え去っていく・・・。プクちゃんは信じられない思いで、その光景を見つめる・・・。女性たちはプクちゃんの想像だったのか?いや、それはプクちゃんを応援に来てくれた妖精だったのかもしれない。みんながいてくれたからプクちゃんは立ち直れたのだ。
朝礼。
いつものように鬼社長が空手の型をやっている。社員たちがそれに習って型を決める。プクちゃんも、バシッと決める・・・
と思いきや、やはり一人だけずれていた!
またあ?と社員たちがプクちゃんを見る、が、みんなの顔には、しようがない、プクちゃんをサポートしなきゃ、という愛情がみられる。ここのところ女性たちとのセッションで明るくなったプクちゃんに、社員たちも助けてあげなきゃ、という気持ちになってきたのだ。そして、鬼社長が気合の入った掛け声をかけ、みんなで空手の型を続ける・・・
がんばるプクちゃんの顔には微笑みが浮かんでいる。